Problems クライアント課題
クライアントである大手総合商社は、世界各地の拠点が個別のレガシーシステムを運用していることに起因する、グループ全体の経営情報の断片化という深刻な課題を抱えていた。
特に会計領域においては、拠点ごとに異なる業務プロセスやマスタ体系がボトルネックとなり、グローバルでのリアルタイムな収益可視化や決算早期化が阻害されていた。
市場の不確実性が高まる中、データドリブンな意思決定を迅速に行うための世界共通のデジタル基盤確立が、グローバル競争力を維持・強化するための最優先の経営命題であった。
Process プロセス
本プロジェクトには移行チームのPMOとして参画。世界標準の業務モデルを各国拠点へ展開する「グローバルロールアウト」の成否を握る、データ移行フェーズを包括的に支援した。
1. データ移行計画の立案とドキュメント整備
全体移行計画書、移行要件定義書、移行設計書などの主要成果物を一から作成。既存ドキュメントの精査とヒアリングを徹底し、クライアントレビューを経て採用される高品質なドキュメント基盤を整備。
2. SAP移行ツール「Syniti」の情報整理と展開
移行専用ツールに関する情報を整理し、チーム内へ展開。技術的な仕様と業務要件の紐付けを行い、円滑なデータ移行に向けた環境構築をサポート。
3. 実効性の高い移行計画のリプランニング
プロジェクトの進捗やリソース状況を正確に把握した上で、クライアント上位層と連携して移行計画を再構築。実行可能性の高いスケジュールへの修正をリードし、プロジェクトの安定化に寄与。
4. 多国籍メンバーのタスクマネジメントとチームビルディング
各メンバーの進捗や課題を丁寧に吸い上げ、個別フォローを実施。特に外国籍メンバーとの知識差に配慮した英語による密なコミュニケーションを行い、チームの一体感を醸成。
5. チームリード補佐としての現場統括
TL(チームリード)の関与が限定的な状況下で、現場レベルのリード役を代行。意思決定の迅速化を図り、メンバーが主体的に動ける自走型の進行体制を確立。
Result 成果
グローバル統一基盤への移行に向けた、FI領域の要件定義および設計を予定通り完遂。
リプランニングによるスケジュール最適化により、大規模プロジェクト特有の遅延リスクを回避し、次フェーズへの確実な橋渡しを実現した。
また、多国籍メンバーが円滑に協働できる体制を構築したことで、現場レベルでの主導的なプロジェクト推進体制の確立に貢献した。
Interview 担当者インタビュー
担当者 花畑 雄哉
神奈川県出身。
業務改革・ERP導入を中心に、SAP S/4HANAおよびMicrosoft Dynamics 365のグローバル導入プロジェクトに参画し、要件定義からデータ移行、テスト、運用定着まで一貫して支援してきた。 特にデータ移行・進捗管理・課題整理を強みとし、国内外のステークホルダーと英語での調整・ファシリテーションを通じてプロジェクト推進を担う。複雑な状況を構造的に整理し、関係者を巻き込みながら前に進める実行力を強みとしている。
Q:プロジェクト参画当初、どのような点に難しさを感じましたか?
「多国籍なメンバー構成ゆえの『認識の乖離』です。ドキュメント一つとっても、言葉の定義や完成度の基準が人によって異なり、それが移行計画の遅れにつながっていました。また、前フェーズからの課題が山積みで、現場には閉塞感が漂っていたのも事実です。私はPMOとして、まずは正確な現状把握と、誰が見ても納得感のある『動く計画』へのリプランニングが必要だと感じ、そこに全力を注ぎました。」
Q:具体的にどのようなアクションでチームを動かしたのでしょうか?
「とにかく『顔の見えるコミュニケーション』を徹底しました。英語での全体会議だけでなく、個別のチャットやミーティングで各メンバーが抱える小さな違和感を拾い上げ、一つずつ解消していきました。特に外国籍のメンバーには、日本の商習慣やクライアントの期待値を翻訳して伝え、逆に彼らの専門的な意見をうまく日本側に橋渡しするよう意識しました。単なる管理業務に留まらず、チームの潤滑油として動くことで、徐々にメンバーの主体性が引き出されていくのを感じましたね。」
Q:このプロジェクトを通じて得られた手応えを教えてください。
「難易度の高い大規模なグローバル案件でも、粘り強くコミュニケーションを重ねれば必ず道は開けるという確信を得られました。TLが多忙で不在がちな場面もありましたが、そこで立ち止まるのではなく、自ら判断し、現場をドライブしていく役割を全うできたことは大きな自信になりました。SAPという仕組みを導入するだけでなく、文化の異なる人々が同じゴールを目指すチームを作り上げるプロセスに、コンサルタントとしての介在価値を強く実感しています。」